息子の高校は校舎内ではスマホの使用を認めていない。だから昼時に息子からラインが入るとびくりと身構えてしまう。今回もメガネのトラブルに見舞われた。体育の授業中の事件だった。バレーボールの授業で出番を待ってコートの外で座って待機していたところ、コートからボールが飛んできて顔面を強打した。メガネの破損よりも怪我のほうが生々しい。保健室で絆創膏を貼って応急処置された。メガネはフレームの付け根と鼻パッドの金属部分がひしゃげてしまっている。ラインで写真を送ってきたがどの程度の破損かはよくわからない。友達によるとこの程度ならすぐに直るということで本人の不安は軽減されたようだ。確か2月にも似たようなことがあって、そのときはメガネを新調した。ちょうど誕生日が近かったため誕生日プレゼントのつもりで処理した。メガネに縁がない男の子はいるものだ。自分も高校時代体育のサッカーの授業で顔面にボールを強打して瞼を切る流血騒ぎがあった。これは男の子の勲章みたいなものだ。メガネを購入した富士メガネはアフターケアがしっかりしているとはいえ壊れたメガネを直すには時間がかかる。今回は無理やり治してもらった。直しながら店員は、「金属だったら修理も効きますけどプラスチックは終わりだからね。予備も必要ですよ」と脅し文句をかけてくる。予備があろうとなかろうとボールが飛んでくるのは避けられない。もうこれは運命みたいなものだ。息子から連絡を貰い、とりあえずまけまけに来るようにさせた。連絡が入った時、自分はいつもの嘆き声を上げてしまった。まけまけスタッフはわけ知り顔で対応してくれた。これで、一人で問題を抱え込まなくて済んだ。親なのだから子供の心配をしなくてはならないのは当然だが、どうも自分は極度の心配性らしい。最悪の事態を考えて行動しても起こる時は起こる。ボールが当たった瞬間はなんだかわからなかった。狙撃されたトランプみたくガッツポーズはできなかった。「そんな余裕はないよ」と笑ってはにかんだ。
イガチョフ