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イガチョフ

同期会

 50歳の節目の歳ということで、中学校の同期会開催の話が持ち上がっている。中学校は旭川で過ごした。受験勉強に追われはしたものの、のびのびと成長できた時期だ。転勤族の家庭に生まれ、幼馴染のいない自分にとって遡れるのは中学時代までだ。親友と呼べる仲間たちの顔が懐かしい。自分が障害を抱えてしまったことを理解してくれている友人もいる。一番仲が良かったT君とは映画と水泳で時間を過ごした。T君は親の家業である料亭を継ぐべく京都へ修行に出た。その後実家に戻ったが、父親とぶつかり東京に出てしまった。小説家になりたいという夢は捨てきれず、今も文学賞に作品を応募している。一人娘は来年就職だと聞いている。旭川を離れる時、T君は仲間を連れ立って旭川駅まで見送りに来てくれた。その時、T君は自分で焼いたピザを土産に持たせてくれた。添えられた金属製のフォークをいつかT君に返したいと思っていたが、いつの間にか紛失してしまった。そのT君もまたメンタルでやられてしまった。厳しい職場環境にさらされて鬱を発症してしまったのだ。おまけにADHDという障害も発覚した。料理の腕は確かで、なんとか生計を保っているが、立場は悪い。それでも精神障がい者として元気に暮らしている。関東在住の旭川人会を主催している。T君同様、自分も家族があり、仕事ではないものの対外的な活動を続けており、無職を恥ずべきことではないと思う。まけまけのブログや函館の「800字の会」という文学サークルなど、飽きやすい自分にしたら良く続いているほうだ。何も失う物がないわりに、世間体を考えてしまう。世間体云々を言うなら、とうに働いているはずだが理由をつけては逃げてきた。年齢的に就労のチャンスはますます狭まる。このまま生活保護で人生を閉じるかもしれない。社会的に出番は廻ってこなかったが、二人の子供の親にはなれた。とても優秀な子供たちで誇らしく感じる。出席を見送って一生後悔するより、勇気を出して参加することで過去を払拭するべきか迷うところだ。

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