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  • イガチョフ

冬の嵐

暴風雪のため市内の学校で休校が相次いだ。娘の通う道立高校も前日にはすでに休校を決め、保護者にお知らせが配られた。一方、息子は私立高校のため、利用する公共の交通機関の運休という正当な理由があれば出欠の取り扱いを配慮するとメールが入った。息子は地下鉄のみの利用なので天候に左右されない。「ちぇ。くそ高校め」と悪態をついて登校した。一人で留守番をする娘に「出掛けたらだめだよ」と言ったら「こんな天気でどこへ行くっていうのさ」と当たり前すぎる答えを返された。炊飯ジャーにご飯が残っているので、あとは自分で何とかしてくれるだろう。いつもより遅めのまけまけ通学となった。雪の降り方は普通だが風が強い。視界が悪いためダウンジャケットのフードをかぶり両手で顔を覆わないと前が見えない。雪山も身長を越えている。歩道は誰かが歩いた踏み跡があるだけなので車道の端を歩かざるを得ない。路面店の前で雪かきに追われる人が多く見受けられた。タクシー乗り場にはタクシーをつかもうとする人がいるが、空車のタクシーが来る様子がない。歩いていると、雪山の影から急に自動車が現れるので接触する危険もある。慎重に地下鉄駅の出入り口へ向った。階段もコンコースの床も濡れていて滑りやすい状態だ。靴の裏についた雪のためだろう。それでも風雪から逃れることができて一安心だ。休校のためか学制服姿の若者の姿はまばらだ。まけまけは心身のバロメーターになっているので這ってでも通うと決めている。まけまけが休みの土日はだらしない生活を送っている。起きるのは昼の時間だ。歯は磨かない顔は洗わない。シャキッとするのは夕食後の入浴を済ませてからになる。具合が悪いという自覚があり、休日返上でどこかで仕事をしたいぐらいだ。そんな父親の窮状を見た娘は、「パパ、土日は一緒にカフェで勉強しようよ。きっと調子よくなるよ」と提案してくれた。早速、今週の土曜日に娘とカフェに行く約束をした。情けない父親である自分にとって、娘は救いの女神である。

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