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  • イガチョフ

霧の余市

余市は深い霧の中だった。高速に乗って小樽の手前から霧が深くなっていった。初めて訪れる余市町はニッカウヰスキーの蒸留所が観光の目玉になっている。その先の山道を行くとお世話になる農園があった。りんごとぶどうの木が並ぶ農園にたたずむ建物の二階が宿泊施設になっている。ミネラル水の販売などを事業にしている会社社長の誕生日パーティーに招待されたのだった。今年で88歳、米寿を迎える。社長とは去年の夏に画廊でお会いした。伝説の歌人・劇作家の寺山修司と親交があり、札幌に資料館を運営している。自分は寺山の名前ぐらいは知っていたが、著作は読んだことがなかった。読んでから資料館を訪ねようと思って、ようやくその機会が実現した。今月の7日だった。その日は、午前中はまけまけがあった。その日の朝日新聞に寺山の記事が載っており、それを手土産に資料館に向った。資料館の展示の目玉は、寺山からの手紙で、その中の一枚に目が留まった。「金おくれ」社長の解説では、いかにも寺山らしい表現だという。人と出会うのは好きだが、通らなければならない関門がある。「あなたは何をやっているのですか?」という質問だ。「何もやっていません」答えるのが躊躇われるが、嘘の上塗りになって信用してもらえなくなるより正直に身の上を明かした。翌日だった。社長から電話を頂いた。「14日に余市でキャンプをするから君も来なさい。あなたと子供たちのことがもっと知りたいから、略歴を書いて送ってもらえますか」娘が帰宅して、キャンプの誘いを受けたことを話すと協力を得た。偶然にも社長と娘の誕生日は同じだった。パーティーでは厨房で料理に追われた。社員ともすぐに打ち解けられいろいろなことを任された。招待客からは社員と間違われるほど機敏に動いた。夜は社長の寝室で休ませてもらった。社長自ら包丁を握り披露された30キロのマグロの解体ショーは見応えがあった。「きみにはわたしの仕事の手伝いをしてもらいます」新しい道が開けた。余市の自然に触れ生き返った思いがした。

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どうしよう

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決断

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