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  • イガチョフ

お宿は定山渓

いつもと違うまけまけだとわかるまで時間はかからなかった。スタッフ全員がマスクをしている。いつからマスク着用になったのだろうとホワイトボードを見ると、次のような注意書きがあった。「雪祭りや観光客の増加で、風邪、インフルエンザ、コロナが流行しています。2月はマスク月間とします」その下にはプリントが貼られていた。それは市内の学校の学級閉鎖の状況を知らせる地図だった。観光客はどうやら春節を迎えて来日した中国人のことらしい。実際、我が家でも連休に定山渓温泉まで足を延ばしたが、中国人の家族連れが目に付いた。今回の家族旅行は半年前から計画していたものだ。昨年は家族全員がコロナにもインフルエンザにも感染し大変な目にあった。免疫は十分についているが、体力が落ちれば感染しやすくなるだろう。日頃からしっかり睡眠を確保することも重要だし、バランスのいい食事を取ることにも気をつけたい。定山渓温泉は、奮発して老舗旅館ふる川に宿を取った。毎月1万円ずつ貯蓄して旅費を貯めた。無理に節制することもなく贅沢を満喫できるので、これからも計画的に旅行をしたいものだ。ふる川はおもてなしが充実しており人気の宿だ。特にラウンジが充実している。ソフトドリンクから軽いアルコールまで揃っており、軽食も用意されている。暖炉にくべられた薪がぱちぱちと火の粉を上げながら燃える様子をただ見つめているだけでも心が休まる。各ラウンジに据えられた高級大型スピーカーの音色は柔らかくて音域の幅を全身で感受できる。和食のコース料理は繊細な包丁捌きの末に目の前に供された物で、どれも新鮮で飽きが来ない。スーパーニッカをロックグラスで頂いた。飲みすぎ注意より食べ過ぎ注意で、露天風呂に入り雪景色を見ると頭の中が真っ白になるのだった。帰りはシャトルバスを利用した。大通り公園をまたぐと、大雪像はすでに崩されていた。雪の塊が今日の暖かさでだいぶ解けたのではないだろうか。足取りはもう春の気分で軽やかなステップであるのだった。

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