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  • イガチョフ

め組の親子

 まけまけに息子からの第一報が入ったのは午後1時だった。学校の昼休みに、体育館でサッカーをして遊んでいたところ、友達の蹴ったボールが顔面に当たり眼鏡を破損してしまった。午後のプログラムまで珈琲を飲んでくつろいでいた最中で、みんなと雑談していた時だった。一瞬パニックに陥り、すぐにラインで「今日、富士メガネに行くぞ」とメッセージを送った。スタッフは「息子さん怪我しなかったの?」と言ってくれたが、普通なら真っ先に怪我のことが頭をよぎるはずだ。改めてラインで確認すると怪我はなく、フレームが壊れてレンズが外れただけだとわかった。先日は自分の目が赤く出血したばかりで、立て続けに息子までハプニングに見舞われた。節分で厄除けしたはずなのにと思ったが、この程度で済んでよかったと解釈したほうがいいようだ。娘のほうに飛び火しないことを祈るだけだ。自宅近くの富士メガネで待ち合わせをした。「やっちゃった」とばつの悪い表情を見せた息子に、「パパも高校時代同じ目にあった経験があるよ。それにしても、このメガネ一年前に作ったばかりだよな。誕生日間直にちょうどいいプレゼントになるけど、1年でお釈迦は困るよ」と声をかけた。視力検査をし、好みのフレーム探しをして、加工するのに一時間かかると言うことで自宅に戻った。姉からは、「かわいそうな啄ちゃん」と慰められた。午後の授業は美術があり、ウクレレのデザインと色塗りであった。片目での作業に難儀して、改めてメガネの凄さを実感した。サッカーボールを蹴ったのは、中学時代のエースストライカーでインサイドキックをまともに受けた。その瞬間は何が起こったかわからず、周りの友達に囲まれた。吹っ飛んだメガネを探し、ゲームを続行するあたり子供らしい。本人の不注意ではないにしても、メガネは高価な物でもっと大切に扱ってもらいたい。ろくに手入れもしないし、夜は掛けっぱなしで寝落ちする毎日だ。今回は「自腹を切るよ」と反省の色が見えるので、これ以上の追求はしないこととしよう。

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