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  • イガチョフ

呪いのX’mas

映画鑑賞でクリスマス会が始まった。映画は当日のお楽しみで作品名は伏せられていた。ただ話題のアニメ映画とだけ伝えられていた。クリスマス恒例の映画といえば、アニメ以外だとホームアローンが定番だ。大人が観て楽しめるアニメ映画といえば、スタジオジブリが何と言っても人気が不動だ。アニメもコミックもほとんど観たことがないので、まあいずれにしても寝ていればいいやと高をくくっていた。ところがである。「鑑賞後に皆さんに感想文を書いてもらいます」これには面食らった。映画評論家でもないのに、鑑賞後の感想なんて書いた経験は一度もない。読書感想文だって苦手中の苦手だ。唯一、鑑賞に際して、チョコレートとポテトチップスをつまめたのが良かった。淹れたてのコーヒーを飲みながらゆっくり、いや真剣に鑑賞することになった。「呪術廻戦」というアニメは若者に人気があることは知っていた。鑑賞前に予備知識を得たが、その時点で何を言っているのかわからない。呪いの学校の生徒が、呪いを解くような作品だろうと妥協して最期まで鑑賞に堪えた。呪いを視覚化すると、ああいったグロテスクな怪物のように表現せざるを得ない。視聴中、クリスマス会のご馳走の準備が進められていて、どちらかというとそちらのほうに興味が湧いた。クリスマスケーキも切りそろえられ、腹が減ってきた。それでも文章家の端くれとして、うまく感想文を書いてやろうと思い、200字の原稿用紙いっぱいに論文を書き上げた。「見える世界と見えない世界、どちらの世界を信じるかと問われれば、僕は見えない世界を信じたい。映画の中で、呪いは物につくと安定するとあった。云々」と映画の筋に全く関係のないことを書き綴った。手作りのクリスマスツリーのモニュメントに電球が点っていた。明日から北海道は大雪に見舞われる予報が出ている。いわゆるクリスマス寒波である。午後はマインドフルネスの時間を持った。いつもより暖房が効いていた上、お腹もいっぱいで、いびきをかいて危うく寝入るところだった。

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